皆様こんにちは、きよこです。
昔のモルディブはどこの島もチェックダイビングがあって、それに
合格しないとダイビングができませんでした。
合格した人を連れていくからか、今ではあり得ないくらい流れている所でも
ダイビングしていたような記憶があります。
なのでヒヤッとした話は事欠かないはずなのだけど、思ったより
忘れています。
では
今日はヒヤッとした話2回目です。
ヒヤッとした話を書く目的は、
そういう状況を想像して疑似体験していただいて、
万が一皆様が同じような状況になった時に、
慌てず対応してもらいたいからという理由もあるので、
ぜひ想像して読んでください。
もちろんそんな状況にならない為にどうするかという事も
自分でたまに考えたりしていると、良いと思います。
25年以上前の事でモルディブのリゾートで働いていた頃
私の働いていたリゾートでは各ボートにその日のボートマスターのガイドが
指名されてそのガイドがポイントを決め、流れのチェックもして
エントリー場所を決めていました。
通常その日にそのボートに乗っている2-3グループが問題
なく入れるポイントにするのでしょうが、その頃は
なんでこんなポイントに入るんだろうというポイントを選ぶことも
多々ありました。
たぶん自分の行きたいポイントを選んでいたのではと思います。
(絶対そうです、自分もそうだったし、その頃はネットもなくそれほど皆深く考えなかったと
思います。)
そのポイントの一つで激流だった時の話。
今は激流はリスクが高いだけで魚はそんなにいない
とわかっていますが、その時は激流大物神話もあった頃なので、
上から見てかなり流れているんじゃないかなというポイントにも
入っていました。いや、入らされていました。
自分なら入らないであろうポイントもその日のボートマスターが決めた
ら、そこのポイントに自分のお客様を連れて入ります。
英語もあまりよくわからない時代、流れていると言っているのは
わかったし、リーフ沿いなので、流されながら潜行すれば
問題ないだろうと思って他のグループの後に続いてエントリー!
(これはダメでしょうという流れですね今思えば。水面に流れが吹き上がってました。)
私のグループは6人、エントリーする場所からもう激流、
リーフの上でエントリー、最初に慌てて潜行した3名
何故かリーフにつかまってしまいました。
(流れの中でつかまる時はガイドの指示で、勝手な判断でつかまると、はぐれます)
そして水中ベルを鳴らしても全くこちらを
見ず、逆らいきれない流れでそのまま流されている私と
他のダイバーの視界から消えました。
(つかまって安心せず、流れの来る方向ではなく、後ろも上も見てください、ガイド近くにいる事多いです。)
ひゃーまずい
他の3名のダイバーはそのままリーフから離されドロップオフへ、
そこで二人はダウンカレントにはまりどんどん深場に、
1人は私の近くにいたが、
全員で浮上する状況!
なのに一人しか指示できない状況
ダウンカレントにはまった2名は、全くこちらを見ず
どんどん潜行しているのにも気が付かず、
耳が痛くなったのか慌てて耳抜き
をしているのだ。
(耳が痛いは潜行してるという事)
まぎれもなく緊急事態です!
多少の不安はあるものの、2人を助けに一緒に連れて行く方がリスクが大きいと判断し
近くにいたダイバーに1人で浮上するように指示、
OKの返事をもらい、私は潜行し続けている二人を
助けに急潜行!30m手前くらいで追いつきました。
浮上していくお客様をたまに確認してましたが、
上と下の流れの速さが違っているため
見えなくなり、その二名を連れて私も浮上。
(水中は深度によって流れの速度向きが違う事が多々あります、自分やほかの人の吐いた泡を見てある程度の流れの速さや向きを確認しておくように)
簡単な絵ですが一部紹介です、水色の線は口から吐かれた泡と思ってください。
①浮上中上に上がった泡が下に行く、(ダウンカレントがある)
②つかまった時に真っすぐ泡が上がってる、(流れ無し)
真横にすごい速さで泡が流れている、(激流)
③泡が右に行ったり左に行ったりする、(深度によって流れの速さや方向が違う)
④真っすぐ上がっていた泡が途中から急に横に行く、(浅い方が流れが強い)
水面に上がったら、
浮上を指示したお客様は水面ででドーニを待ってるのが見えます。
遠くの方ではドーニが最初にリーフにつかまった
お客様をピックアップしている。
(水面に上がったら一人では潜行は絶対しないで)
どうにか上がったんだ 良かった!
そしてそのドーニが私たちを迎えにきたが、
船の先端に立っている男性が家内がいないんですという。
最初につかまった3名のうちのご夫婦のお客様の旦那さんが奥さんではなく、
別の人と浮上してきたそうです。
とにかく一緒に浮上した2名のお客様とドーニに上がり。
最後の一人がどこかで上がっていないか、水面を見ながら探す。
流れが激流過ぎて泡もわからないくらいなので、なかなかいる場所がわからない、
エントリーから20分くらい経っている。
はぐれた時の基本は水中を1分探して、見つからなかったらすぐに浮上。
なのに、いまだに上がってこないという事は、何かあったのかも。
最悪の事態も頭に入れながら流れがすごかったから、もっと先の方に流されているかもと、
かなり遠くまでドーニを走らせる。
こんなに上がってこないって、まずい。
最悪の場合、どうすれば良いかという考えが頭に浮かびます。
裁判になったら日本でかなとか、ちゃんとはぐれたらすぐに浮上って言ったっけなとか。
あらゆる考えが頭をよぎります。
半分保身になっちゃいますけど、
30分近くたった時、エントリーポイントからそれほど離れていない場所に、
ポツンと頭が見えます!慌てて近くに行ってお客様の名前を呼ぶと、
マスクが半分ずれてしまった、状態で手を振っています。
おおおおぉぉぉ~生きてる!!
良かった良かった!安堵の声が船からも聞こえ旦那さんも一安心、
私も、最悪の事態にならずに良かったととりあえず、ほっとしました。
落ち着いて話を聞くと、エントリー後すぐに10mもないリーフの岩につかまり、
誰かが迎えに来てくれると思ってずっとそこに居たそうです.......
はぐれてしまって長い時間水中で待つ人の割合は一定数いるんです。
正常な判断ができなくなっているか思考が止まっているか、
サイレントパニックになっています。
なので、30mを超える場所でずっと待っていたり、
エアが後50しかないのに、まだ水中に居たり、
絶対ガイドが戻ってこれないであろう流れでもそこでつかまって待っていたり、
さがせないよそんな所にいたんじゃという中層で浮かんでいたり
とにかく待ってれば良いんだという考えが頭を占領しているようです。
ガイドがそこで待っていてといっても、ガイドが見えなくなり、
ある程度の時間がたち、
命の危険がある場合は、余裕がある間に安全に
浮上しちゃってください
そういう時こそ自分の身は自分で守ってください。
(前回フロートは安全停止の時にあげてほしいと書きましたが、パニックになっていたり、
ダウンカレントにはまっていたり、フロートを上げる事で、リスクが大きくなる場合は浮上を優先してくださいね)
事故というのはいろんな不注意、確認ミス、判断ミス、体調、たまたまの状況、スキル不足、コミニケーション不足等々いろいろな事が複雑に絡んで起きる場合がほとんどで、どれか一つでも気を付けていれば、やっていれば、起きなかったであろうと思います。
ガイドももちろん事故の起きないように注意しますが、すべてにおいて100%完璧はあり得ませんので、ダイバーの皆様も自身の安全には十分注意していただきバディやグループは近くにいるように、余裕のある方は他のダイバーもちらっと見ていただき、相乗効果で事故を防いで安全に潜れればと思います。
ちなみに、その後他のグループも潜行後すぐに浮上してきていました。
リーフの反対側のポイントで再エントリーしてダイビングをしてからリゾートに戻りました。
最初からそっちで潜ってればよかったんですが、
激流のショックで数名休みましたが、ほとんどの
皆さん、再エントリー。
切り替え早すぎです。